メカトロニクスにうってつけの日

ロボット開発や研究活動に関するメモ

レーザー測距センサVL53L0Xの使い方

STMicroelectronicsのTime-of-Flight方式の距離センサであるVL53L0X,4.4×2.4×1.0mmの大きさで,数センチから2メートルまでの距離をミリレベルの精度で測ることができる優れものです.今回は研究関係で複数利用したので,ポイントだけざっくりメモを残しておきます.

www.st.com

 

IDの設定

I2C通信を用いてデータを取得しますが,一つのバスで複数利用する場合にはひと手間必要です.各チップは電源を切るとIDがリセットされるため,電源投入のたびにIDを設定しなおす必要があります.しかし,当然設定しなおす時点では全チップが同じIDを持っているため,一見すると特定のチップのみのIDを変更することができません.そのためにVL53L0XにはSHUTピンが用意されており,このピンをLowにするとそのチップはシャットダウンされます.このピンをマイコンから個別に操作できるようにしておき,

①全てのチップをシャットダウン

②チップ1をONにし,IDを変更

③チップ2をONにし,IDを変更

・・・

といった手順で全てのチップに異なるIDを設定することができます.この操作を電源投入時に毎回行う必要があります.

 

ライブラリの利用

このセンサを使うためのライブラリはmbedやarduino用のものはあるようですが,今回僕は自分で設計した基板で素のマイコン(STM32F405)を使ったので,これらのライブラリはそのままでは使えませんでした.

ライブラリを使用しない場合の情報が少なかったため,ライブラリをいじって使うことにしました.下記ライブラリのVL53L0X.h/cppを利用します.

github.com

このライブラリに合わせた形でI2Cの通信を行う部分のライブラリを自分で作成し,I2C通信の部分を自作のものに置き換えれば,上記ライブラリのVL53L0Xのクラスが使えるようになります.この方法で連続測定モードで使うことができました.

 

以上,とりあえずのざっくりメモでした.

フリーマーケット出店@京都大学11月祭

11月25,26日に,京都大学の学祭である11月祭(NF)のフリーマーケットに個人で出店し,電子基板アクセサリーを販売しました.

 

こんな感じの極小店舗です.

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商品はその名の通り電子基板でできたアクセサリーで,葉っぱをモチーフに,虫に見立てたICと半田の水滴がついています.モチーフは一種類で,ストラップ,ピアス,イヤリングの三種類を売りました.

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2日間で計90個売れ,売り上げは49500円でした.内訳は以下の通り.

  • ストラップ 77個
  • イヤリング 7個
  • ピアス 6個

ストラップは500円で,イヤリング/ピアスは一日目1000円,二日目は800円で売りました.学祭なので模擬店みたいに「値引きして」とか言われるのかなと思っていましたが,実際にはほとんどそういうことはなく,フリマでは製作者に対してある程度リスペクトを持ってもらえてるのかなと思ったり.

文系理系,老若男女問わず「工学系なので好み」「珍しいから」「かわいいから」「職場の人にウケそう」などいろいろなポイントで購入していただけました.ざっくりですが買ってくれた人の7割くらいは男の人でした.京大の学祭と相性がいいこともあってか,幅広い人に興味を持ってもらえたと思います.

 

NFのフリーマーケットのゾーンはこんな感じでした.

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出展者に学生は少なく,普段からあちこちでフリマを出してそうな大人の人たちが多かったです.たまに雑談したり,トイレに行くときは隣の方にちょっと見てもらったりして,ほのぼのしていました.

 

この企画,そもそも「自分で作ったものを売ってみたい」と思って3回生の終わりごろに基板を作っていて,自分用に何個かストラップにしてつけていました.しかし売ることはせず放置.今年こそはと思って金具や台紙などを揃えてアクセサリーに加工し,ついに販売を実行しました.販売するにあたって「見た目をそれらしくする」ということは重要だと考え,ラクスルに名刺として台紙を注文したり,マスキングテープを買ったりしました.台紙の模様になっている回路はロボット用に設計した回路のパターンをそのまま使っています.

ちなみに,売りませんでしたがLEDがチカチカするバージョンもあります(フリマで「これ光ったりしないの?」と何度か聞かれてちょっと悔しかった).アクセサリー製作のコンセプトとしてはこっちがメインで,世にある基板アクセサリーが基板の見た目だけを使ったものが多かったので,ちゃんと回路として成り立つべきだと思って作ったのがこの光るバージョンになります.カブトムシに見立てたICがキャンドルICというLEDをチラチラさせるICになっています.側面からボタン電池がむき出しで,それを何とかする手間をかけられなかったので今回は売りませんでした.部品が増えるので1000円とかになってしまうこともあります.

youtu.be

 

フリマの後に,友人のアドバイスをもとにイヤリングを下の写真のように改良したらすごいよくなったので,もう少しアクセサリーの研究をしてから作るべきだったなという反省もあります(チェーンの部分を棒に変えた).

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また,フリマのお客さんからは「基板とか好きなので,もっとごてごてしていてほしい」という意見もありました.たしかにもっと抵抗とかそれらしいものを載せて,思いっきり基板基板させた方がコンセプトが通っていた気もします.一方で基板だと知らなくてもイケてるものにしかたったので,今回のものにも満足しています.

 

自分の製作物が知らない人の手に渡り,僕の知らないところで使われるというのは感慨深いものがあります.そういうことが一度やってみたかったので,いい経験になりました.