メカトロニクスにうってつけの日

ロボット開発や研究活動に関するメモ

Webカメラを改造して広角赤外線カメラを作る

趣味の工作の方の話で、主旨は「気楽に使える広角な赤外線カメラが安価で欲しい」です。 

 

teruaki-tsubokura.com

 

こちらのブログで紹介されている内容を後継機でなぞりました。上記記事がとても優良で十分なのですが、こちらもメモ程度に残しておきます。BUFFALOの最新後継機であるBSW500MBKを使った版です。

 

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用意するのはwebカメラと赤外線透過フィルター。フィルターは品番によって透過するものが違うようなのですが、詳細がよくわからなかったのでとりあえず一番無難そうなもので試すことにしました。

 

見た目通りに分解していきます。

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元の赤外線除去フィルターは正方形で、角の4点で留められています。その辺りをカッターで削って無理やり外しました。

 

そして八角形状に切った赤外線透過フィルターを両面テープで固定します。

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あとは分解したときの逆順で組み立てて完成です。

 

 

未改造のカメラと、改造後のカメラで比較。

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それっぽくなってますね。

ちょっと可視光の除去がぬるい気もするので、場合によっては他の品番に付け替えるかもしれません。

RoboCup世界大会2019 優勝!

 7月4日から7日にシドニーで開催されたRoboCup世界大会Rescue Robot Leagueで我々チームSHINOBIが優勝しました!! 研究室のチームとしては初優勝(初参加は2002年)、日本のチームとしては2005年以来14年ぶりの優勝になります。

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 このリーグは災害対応ロボットの競技会であり、不整地の走破性能、アームを用いた作業性能、マッピングや自律走行といった自律探索性能を評価して競います。一台のロボットで多種多様な課題をクリアする必要があり、総合力が問われます。

 SHINOBIは昨年のWorld Robot Summitに出場(そして優勝)したロボットを改良して作り直した新作FUHGA2で出場しました。サブクローラーが長くなったり、LIDERが三次元計測できるものになったりアームの形状が変わったりしています。全体的にさらなる軽量化もして洗練されてきました。センサ類もぐっと増えています。昨年の機体に比べて劇的に走破性が向上し、がれきが乗った45度の階段なんかも楽々移動可能です。また、昨年に引き続き特殊なジャミング平行グリッパを東北大学田所研究室の多田隈先生チームに開発していただきました。

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サブクローラーで立つことで高いところにも届く。

 

 僕自身はチームリーダーとして開発全体の取りまとめや総合設計のための調整をしつつ、特にアームの設計開発、モータードライバなどの電子回路の設計開発、電気系統の実装、制御ソフト開発、オペレータなどを担当しました。

 

 大会では2日、3日がセットアップの日で、会場でロボットを組み立てていろいろと準備を。4日~6日が予選、7日が決勝でした。毎日会場が8時から23時まで開いており、そうなると当然8時から23時まで作業するわけで、毎度思うことながら体力が必要な大会ですね。

 予選は2位で決勝に進出。また、予選の結果でBest in Class Dexterityという部門賞を獲得しました。また、Best in Class Mobilityも同時に狙っていたのですが、こちらはマシントラブルも相まって獲得ならず。悔しかったです。

 7日の決勝では6チームで競いました。Mobility, Dexterity, Atuonomyの3種のカテゴリの課題を40分ずつ。その総合得点で競います。40分もぶっつづけで操縦するのはハードに思えましたが、実際やってみるとあっという間でした。優勝したからよかったものの、今でもふとしたときに「あのときもっとうまいやり方があったな」という後悔がフラッシュバックします。

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 こちらが決勝のスコアです。2位だった優勝常連チームであるタイのiRAPは本当に強く、かなりの接戦でした。走破性能も作業性能もほぼ互角ですね。3位のHectorは尖ったチームで、圧倒的な自律性能を発揮していました。モビリティのタスクも自律で行うそのこだわりと能力には本当にリスペクトです。今後は自律機能・探索機能を充実させることがロボカップレスキュー全体の課題になりそうです。

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パドックの様子。

 

 海外にロボットを持っていくのは初めてで不安でしたが、いろんな人に助けていただきなんとかなりました。トラブルはなかったです。特に東北大学の小島さん、岡田先生、名古屋工業大学の佐藤先生には詳しくアドバイスをいただきました。海外輸送についてはまた詳しく記事を書きたいと思います。

 

 伝統あるRoboCupで優勝というのはかなりうれしいです。松野先生の念願を叶えることができました。2017年の名古屋での世界大会(こちらの記事)に出てレベルの高さを痛感した悔しい思いを成仏させられそうです。名古屋大会以来そのレベルを意識して開発を行い、2年後に再度世界大会に挑んで今度は通用したというのは感慨深いです。

 ここ3年間は毎年新たにレスキューロボットを作り直してきましたが、ようやく(おおむね)満足のいくハードウェアになってきたと思います。それでも大会を通して改良したい点はたくさん出てきたのですが...。

2018年度 日本機械学会奨励賞(研究)

 2018年度 日本機械学会奨励賞(研究)を受賞しました。

 

 この賞は、日本機械学会(会員数約3.5万人)に所属する35歳以下の若手研究者が対象で、下記のような人に贈られます。

機械工学または広く産業社会に関わる主として研究上の業績(印刷公表された論文等)をあげた新進気鋭の会員個人.(本人が中心的役割りを果たした業績に限る)

 新進気鋭だなんて、照れますね。ロボメカ部門の表彰委員会から推薦していただいたようです。経歴に書くようなレベルの賞をいただき、大変光栄に思います。「ヘビ型ロボットで梯子を登る」という成果が目立ちやすい研究テーマの恩恵もありそうです。

 

 4月18日に東京で授賞式があり、賞状と立派な盾をいただきました。

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また、リクエストがあって研究を1分で紹介する動画を作りました。そのうち機械学会のHPに載ると思います。

 

 下記サイトに2018年度の受賞一覧があります。

www.jsme.or.jp

 

奨励していただいたことですし、今後も研究励みます。